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内気な彼女

第1章 内気な子



「撮影期間が今回四ヵ月の短期よ。他のキャストの人ともうまくスケジュールが合わせられそうで、出来るだけ一気に撮影することになったらしいわ」

私は鞄に入っていた手帳を取り出し、今言われたことをメモしていく。
四カ月だったら龍之介さんに会えるのはまたしばらく先かななんて思ってしまうあたり重症なんだろうな。

「台本ももう出来上がっているみたいだし、明日事務所で渡すようにするわね」

その時にまた詳しい説明をしてくれるらしい。

「わかりました、ありがとうございます」

また頑張ってセリフ覚えなきゃ。
意気込みながらとりあえず自分ですることをまとめていく。

「撮影っていつから始まるんですか?」

「だいたい一カ月後ね」

さっきよりは渋滞もマシになり、だんだん見慣れた風景に切り替わってきた。

今日も一日精神的にも疲れたと言うこともあり、家が近づいてきているとわかってくると自然とあくびをして、眠気が襲ってきた。

「寝ないでよ」

「うぅ、頑張ります」

とは言いつつも、だんだんと目が下がってきているのがわかる。

だめだめ、ここで寝たら湊川さんに迷惑かけちゃう・・・。

そう思いながらも私の意識はどんどんと沈んでいってしまった。







「・・・お・・・・きて!」

誰か近くで叫んでる。
でも体がまだ起きてくれない。

その場にへばりついてしまったかのように重たくて自分の意思じゃ動かせない。

「起きて!ななか!!」

大きな声が近くで聞こえたかと思うと、方に衝撃を覚えた。
その瞬間、体はビクッと飛び跳ね目が一気に覚めた。

横を見ると湊川さんが私の顔をのぞき込んでいた。

「やっと起きたわね、ついたわよ。さっさと降りて家に入りなさい」

「え、わたし・・・」

「寝ないなんて言っていたくせに、そのあとすぐに寝落ちしていたわよ」

あ、そっか。湊川さんに家まで送ってもらっていたんだ。
起きてなきゃって思いながら睡魔と戦っていたことは覚えているんだけれども、どうやらそのあとすぐに負けてしまったらしい。

「ご、ごめんなさい・・・!すぐに降ります!」

近くに置いてあった鞄を手に取って、湊川さんにお礼を言うことを忘れずに車から降りる。

ドアを閉めると、助手席側の窓が開き湊川さんが運転席から体をずらして顔をのぞかせてくる。
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