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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第6章 言ノ葉【沙明】


何故だろうか、私はどのループでもツバサに避けられているように感じる。
基本的に仲の悪い人と表示されるのは大体がツバサだ。
それ故に、ツバサの特記事項は全然解放できていない。
私、何かしたっけ……?
思い返してみても、心当たりがない。
本人に聞いてみるしかないんだろうか……
今日の会議を終わらせて、ツバサの元へ向かう。
「やぁ、ツバサ」
「あ、セツ……どうか、した……?」
私が話しかけるとやはりどこかよそよそしい。
かろうじて返事はしてくれたが、オドオドとしていて視線を合わせてくれない。
「いや、ツバサが私のこと嫌いなんじゃないかと思って」
「そ、そんなことないよ……嫌いじゃない、けど……」
「……けどの続きは、何かあるの?」
「……好きかって言われたら、複雑」
うう……少し傷つくけれど仕方ない。これは私が決めることじゃない、ツバサの心情なんだから。
「そっか、それが聞けただけでも良かったよ」
「それ、だけだったの……?」
「うん、それだけ。なんだか、ツバサは自己紹介した後に少し話して、少ししたら急に私を避けるようになっただろう?嫌われたんじゃないかと思って」
「……何も理由がないわけじゃないの。でも、あんまり言いたくない……」
「うん……ツバサが言いたくないなら、言わなくていいよ。無理に話す必要はないから」
「うん……ありがとう……」
とりあえず聞けただけでも良かった。嫌われているわけではないらしい。
でも、何故……?
……と言うよりも、私は仕事があるんだった。
一人では絶対に行きたくない仕事が。
「ツバサ、ちょっと一緒に着いてきてくれないか?」
「いい、けど……どこに?」
「娯楽室に」
今日の会議に参加しなかったこの船一の問題児を説得しに行くために。
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