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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第6章 言ノ葉【沙明】


次の日。
残りのグノーシアはあと私一人だけ。
今日も今日とてメインコンソールに着くと、そこには昨日見えなかったツバサの姿。
「ツバサ……!昨日はどうしたの?」
「ごめんね、昨日はちょっと体調が悪くて……今日はちゃんと参加するから」
「ならいいけど、……なんで沙明がいるんだ?」
「ア?別にいーだろ?コイツだって嫌がってねーんだし」
「……」
今度は私の体調が悪くなりそうだ。
でも、ツバサが前よりも笑うようになった気がする。
それが隣にいる彼のおかげなのだと考えれば、それほど邪険にすることでもないかなと思う。
私はループごとになるべく勝利するようにはしているけれど、このループではもう、凍っても構わない。どの道私はループする。
そんな思いで議論に臨んだら、私が凍ることになってしまった。
「私、セツを見送ってくるね」
名乗り出たのはツバサ。
彼女に避けられていると感じていたが、歩み寄ってくれるようになったのだろうか?
コツコツと廊下に響く靴音。そうこうしているうちにコールドスリープ室に着いた。
「ツバサ、凍る前に聞きたいことがあるんだ」
「……うん、なにかな」
「君は、沙明のことをどう思う?」
「へっ……?」
「別に私が彼を好きなわけではないよ。ただ、君が沙明と楽しそうに話しているのが珍しく見えたからね」
「……私、沙明のこと好きなんだ」
「そっか、うん。……彼に幸せにしてもらってね」
「……ありがとう、セツ」
そう言って微笑んだツバサを、世界で一番美しいと感じた。
「じゃあ、そろそろ眠るね」
「おやすみ、セツ」
「うん、おやすみ。ツバサ」
次のループでも、彼に幸せにしてもらっていますように。
特記事項解放
ツバサ 沙明のことが好き
沙明 ツバサのことを愛している
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