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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第5章 猫談義【シピ】


「だからさ。コイツのこと、信じてやっちゃくれねーか?」
シピの一言で沈黙が訪れる。
皆、何か思うところがあるのだろう。
対象の協力者は親しいから仲間を信じてもらいたいという希望だけでそう言っているだとか。
自分はその人を信じたいから皆も信じて欲しいというエゴだとか。
困惑するところも、反発したいところも。
でも、僕は。
「僕も、信じる」
ツバサのいい所を知っている。
他人を傷つけたと感じたら些細なことでもきちんと謝ることができるとか。
グノーシアの時でも人を消すことを罪悪感から躊躇っているところとか。
当たり前のことでも、それはツバサの長所だと思うのだ。
すると、皆もツバサへの疑惑を消して、信頼を向けていた。
彼女はふっと笑って、
「ありがとう」
ただ一言、そう言った。
シピも安心したように彼女を見ている。
やっぱり、君達は傍から見ても、とってもお似合いだと思うよ。
さて、そろそろグノーシアを見つけないと。
こんなムードでも、目的を忘れてそのままにするのはお門違いだ。
「しげみち。僕は君が怪しいと思う」
全員が会議モードに戻って、グノーシアだと疑いをかけていく。
やはり、直感が高い人は何人か気づいていたようだ。
昨日親しく話していたとはいえ、グノーシアである可能性が高いのだから、眠らせるしかない。
会議を早めに切り上げて、投票に移る。
本人以外の全員がしげみちに投票し、コールドスリープが決定。
最後のグノーシアが眠ったところで、LeViのアナウンスが鳴った。
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