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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第5章 猫談義【シピ】


爽やかな笑顔でツバサへそう言って、わしゃわしゃとツバサの頭を大きく撫でている。
ツバサも照れてはいるものの、満更でもなさそうだ。
「おおおお!カップル成立ってか!くぅーっ、俺も絶対彼女作ってやる!」
ツバサ、演技力が生かせていないよ。
せっかく高い彼女の演技力も、シピの前では意味が無いらしい。
すると、ポーンといつもの軽い音が鳴った。
『数分後に空間転移を行います。乗員の皆様は自室へお戻りください』
どうやら時間切れのようだ。
今回は守護天使が居ない。彼らの話を明日聞き出せるかどうかは運次第だ。
「フアァ〜……じゃあまた明日な」
「おやすみ、みんな」
「お、じゃあな!」
「ああ、おやすみ」
「また明日ね」
コツコツと廊下に足音が響く。
「ライト」
セツだ。銀の鍵のことだろうか?
「なに?」
「特記事項は開いた?さっきの話でなにか開いたものがあったらいいんだけど……」
「ちょっと待ってて」
銀の鍵を想像して出してみる。
ふわりと淡い光を放って出てきた銀の鍵に、新たな特記事項が開いていた。
「うん、開いてる。多分、ツバサのかな」
「しげみちのは?」
「ああ、前に取ったから。前はあそこでツバサが来ることはなかったんだ」
開いた特記事項を確認してみる。
『遺伝子を組み替えて猫耳を生やしている』
僕の銀の鍵はツバサとシピの恋愛事情に興味はないらしい。
「セツのはどう?」
「ああ、私は彼らの恋愛関連のものだったよ」
セツの鍵はロマンチストなんだろうか。鍵によって開く特記事項が違うんだな。
「と、そろそろ時間だ。ライト、また明日」
「うん、またねセツ」
今日はもう寝ようか。
どうか彼らが、引き裂かれませんように。
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