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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第3章 目は口ほどに物を言う【ラキオ】


え……今、ラキオはなんて言った?
私に好意を抱いていると……言った?
そんな、まさか、そんなわけが無い。
ラキオがそんなこと言うなんてありえないと必死に脳内で理由をつける。
でも、私の耳に入ってきた言葉は本物で、ラキオはそう言ったという事実を突きつけられる。
「……本、当に?」
「僕が嘘でこンなことを言うと思うのかい?もしそうなら君は僕への理解が足りてなさすぎだ。まさかさっきの言葉が分からなかったとでも言うンじゃないよね?」
「ううん……ちゃんと聞こえたし、分かってる」
「それで?」
「私も、ラキオが好き」
精一杯の笑顔で彼に伝える。
私の想いが全て届くように。
彼は肉体的には汎ではないが、魂は汎である。
汎は異性に性的魅力を感じることは無い。
それなのに、彼は私を好きだと言ってくれた。
不完全な汎だからなのか分からないけれど、そんなことどうだっていい。
私と彼の想いが今、繋がったから。
「……当たり前だろう……何を言っているんだ君は。僕が言ったことには全て了承で答えてもらわないと困る。そンなの計画にはないからね」
視線を逸らして口元を隠しながらそう言い放つラキオ。
でも、頬が赤くなっている。
演技がいくら上手くても、照れているのはバレバレだ。
「ふふ、ラキオ顔赤い」
「……フン!」
指摘すると、怒ってそっぽを向いてしまった。
彼らしい仕草と図星をつかれて少し焦った反応が可愛らしい。
愛しさが止まらないまま、彼の隣に移動して、そのまま抱きしめる。
「好き」
その一言だけでいい。伝わっているはずだから。
ラキオは何も言わずにそのまま抱き締め返してくれた。
素直じゃないね、それが君らしいけど。
言葉には出していないけれど、バレバレだよ。
照れているのも、喜んでいるのも。
彼の心拍数が少し早いのを感じたから。
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