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真田弦一郎、異世界転移しました

第1章 プロローグ


会社に休みますと電話をして、スタバの席に戻った。
目の前の男……は、正真正銘本物の立海大付属中学テニス部の真田弦一郎副部長……と主張している。
ただのテニプリに詳しい真田弦一郎のレイヤーさんかな?とも思ったけど、この本気で困った顔を目の前にするとあながち嘘ではないような……。
むしろ、本物の真田弦一郎ならば私にとってこんなに嬉しいことはない。
夢にまで見た、推しが二次元から迎えに来たっていうシチュエーションなんだから!

……とは言っても私、もうアラフォーなんだよね。
彼が本物の真田であれば歳の差20歳以上だよ!!!!
…まぁ、見た目年齢はそんなに変わらないけど。
バレないようにそっと溜息を吐く。

「この飲み物は甘いがたまらん美味しさだな。丸井が喜びそうだ」

……間違いなく、真田が漫画から出て来た。
その方が私にとっても都合が良いし、ここは信じよう。信じましょう!嘘でもいい!寂しいアラフォー女にサンタさんからのプレゼントですね。今日はクリスマスイブだもの!





珈琲の匂いを間に挟んで改めて彼女の顔を見る。
彼女の話を纏めると、どうやら俺は彼女の読むコミックの登場人物らしい。
この世界では、俺たちテニス部の活動が青学の越前リョーマを主人公にしてコミックになっていると言うのだ。俄に信じ難い話だが、彼女の見せる画面では確かに俺も、幸村も、蓮二も、イラストになっていた。
そして、俺達の身にここ数ヶ月起こった事を詳細に知っていた。俺と幸村しか知らん事もだ。信じるしかないだろう。
どうやら彼女は20年間そのコミックを読み続けていたらしい。俺はそのコミックの中では歳を重ねない故に彼女ばかりが歳を重ねていったそうだ。
年齢は……女性には聞かないのがマナーと言うものなのだろうな。
詰まり、20年間俺のことを紙を隔てて見続けていた彼女の夢を、俺は見ていたということらしい。
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