第17章 拾陸 刀鍛冶の里へ
鉄珍様とかりんとうを食べながらつい長話をしていると
鉄穴森さんが部屋へ入ってきた
一向に訪れないから心配して来たそうだ
ゴクッーーーーー
『ご馳走さまでした、鉄珍様と話せて楽しかったです』
「お前さんの声あんま聞き取れなかったけどね、ま、刀出来るまでこの里でゆっくり過ごしてや」
『ありがとうございます』
そして鉄穴森さんに案内され、屋敷へ足を運んだ
「お久しぶりですね、早くに柱になられ刀も随分消費されていた事でしょう」
『いや、鉄穴森さんの刀は素晴らしいです。私の実力不足で刃毀れさせてしまい申し訳ない…』
「いえいえ、今迄こんなに手入れされている刀を見たことがありません。とても大切に使って頂いている証拠です、ありがとうございます」
やはり常に刀を見ている者
錆びないよう使う度綺麗に拭いておいて良かった
「実はこの前、非常に珍しい玉鋼を手に入れましてね」
と言うと鉄穴森さんは打ち終えた刀の中から一際白い刀を持ってきた
「通常の玉鋼と違い、既に真っ白に輝いてたんですよ。これは是非、雪柱様にと長の意向で打たせて貰っていました」
そういえば鉄珍様さっき言っていたような…
『にしても白い…』
近くで見せてもらうと、刃は全体が白く光っていた
雪道で落とすと見つけられない程に真っ白だ
刃毀れした刀は鉄穴森さんが保管しておいてくれるとの事
最終段階の研ぎと、鍔を付けるのに明日の夕方まで掛かるようなので、私は癒しを求め温泉地へ向かった