第28章 弐拾漆 柱は話を聞かない
蝶屋敷に来るまでこれ程時間が掛かったことはない
先程の事は忘れて稽古に集中した
『しのぶ!もっと速く動ける…呼吸を意識して』
「っ、はい!」
しのぶは力が無い、その為速さで誰よりも勝たなければならない
今迄も死ぬほど努力しただろう
だがしのぶはカナエの仇を伐つために必死だった
そして私もそれに応えたいと思っていた
終わる頃には日が傾いていた
「、忙しい所ありがとうございました」
『気にしないで、しのぶのためなら何時でも手合わせするからね』
「とても助かります」
『皆こうやって話を聞いてくれたらなぁ…』
「え?」
『厭、何でもない、それじゃあまた今度』
そう言って私は見廻りがある為、急いで蝶屋敷を出た
カナエ…しのぶは頑張っているからね…