第16章 拾伍 弟弟子
不死川は言葉が出なかった
当然だ、お館様は私達を敬い、鬼殺隊として自分の生きる道を作ってくれている
この組織がなければ私たちは鬼に立ち向かう術も分からず、こうして刀を持つことも出来なかっただろう
違う形ではあるが、お館様も共に戦ってくれているのだ
「…君たちが捨て駒だとするならば私も同じだ。鬼殺隊を動かす駒の一つに過ぎない。私が死んだとしても何も変わらない、私の変わりは既にいる」
「実弥は柱合会議に来たのが初めてだから、勘違いしまったのだと思うけれど、私は偉くも何ともないんだよ。皆が善意でそれその如く扱ってくれているだけなんだ。嫌だったら同じようにしなくていいんだよ、それに拘るよりも実弥は柱として人の命を守っておくれ。それだけが私の願いだよ」
そして不死川の親友 匡近 の遺書を読み、それを渡していた
不死川の目から涙が溢れていた
殺伐とした空気は、暖かなものに変わった
悲鳴嶼さんがなんと慈悲深い…と涙を流していた