第14章 拾参 似た者同士
台所を借り、用意したものは
彩りを考えた副菜、ご飯と汁物、そして義勇の大好物
『どうぞ』
大好物を目の前に、今まで見たことのない笑顔の義勇がいた
「旨い」
ニッコリ笑いすぎて明日台風でも来るのかと思う程だ
まさかこんなに鮭大根が好きとは…
『一杯食べてね』
私の言葉に頷くと黙々と食べていった
そして義勇は口の回りが必ず米だらけになる
あの時の寝癖にも驚かされたが、義勇は見た目以上に斜め上の天然のようだ
私の事になると瞬時に気付くのに不思議な人だな…
すると椀を持つ手が止まった
「何だ?」
『またご飯粒付いてる』
「?」
頬に付いた米粒を拭き取った
されるがままの義勇は私の母性を擽る
『そんなに美味しい?』
「凄く旨いぞ」
ムフフと笑うとまた箸を進めた
鬼殺隊としての義勇も魅力的だが、こういう所が堪らなく愛おしい
恋は盲目とはこの事を言うのだろう
鮭大根が冷えてしまうので私も箸を着け始めた