第13章 拾弐 珠世と愈史郎
「どうした?義勇呼ぼうカ?」
白音が話し掛けてきた
『何で義勇…って白音、まさか呼んだことあったの…?』
「…ナイヨ」
『…はぁ。良い、大丈夫』
白音がまさか義勇に取り巻かれてるとは思わなかった
『これから義勇に胡桃貰ってもダメ、食べたいならあげるから…』
「う…ゴメンネ」
白音の大好物が義勇の台所にあった事を思い出し、釘を指しておいた
だがこの会話のお陰で、もどかしさが和らいだ
『でも…私の身に何かあった時は一番に義勇に伝えてね』
「勿論だヨ」
そう伝えると白音の光沢のある白い羽を撫でた
こんなに白い鴉は生まれて初めて見た
そして鎹鴉には個性があり、話し方も流暢さも違った
白音はお館様の鴉より丁寧に話せないが、まるで人間のように会話を行い、私の感情にも一早く気付ける
きっとお館様がそれぞれに合った鎹鴉を用意してくれるのだろう
気持ち良さそうな顔をしている白音に顔が綻ぶ
長い帰路を白音と語りながら帰っていった