第13章 拾弐 珠世と愈史郎
私は初めて誰かに夢を伝えた
戯言と思われても良い、この二人には聞いてほしかった
自分の病弱さにより、鬼にされそうになった事
兄と幸せに暮らせるなら鬼になっても良いかもしれないと思ったこと
その夢の続きは分からないままだが、今の自分には分かる
全ての鬼が望んでなったわけではない
それに…
『珠世さんと愈史郎にも、日の下を歩いてほしい』
「「!!」」
『私は…人を喰うという固定概念で鬼を斬り続けていた、こんなにも優しい人達がいるなんて知らなかったんです…』
「さん…」
『そして医者として怪我人や病人の治療をして下さっている…それなのに何で私達と同じことが出来ないんでしょうか…』
「ありがとうございます…」
すると珠世さんは涙を流し、愈史郎は切ない顔を見せた
渡されたのは短い刀
これを鬼に刺すと自動的に血液を取れるらしい
愈史郎が作ったそうだ
私には到底敵わない医療技術
『愈史郎凄い…五月蝿いだけかと思ってた』
「貴様…捻り潰すぞ」
「…これを出来るだけ無惨の血が濃い鬼、十二鬼月の血を取る事になります…本当によろしいのですか?」
『もちろんです、私はこの世から…悪い鬼を消しますから…』