第13章 拾弐 珠世と愈史郎
珠世さんは無惨により鬼にされたが、唯一呪いから逃れられたらしい
そして鬼でありながら無惨を滅殺しようとしていた
医者として治療を行い、人の血液を少量飲むことにより生き永らえている
だから他と身体が違ったんだ…
それに一番驚いたのは愈史郎のこと
無惨の血ではなく珠世さんの医療技術により、瀕死の愈史郎を鬼として生かした
一応医者を目指そうと思っていた私からは、雲を掴むような話だった
珠世さんはきっと今迄で一番の名医だ
私はふと疑問に思うことがあった
『鬼にはできても、鬼は人間に戻せる薬は作れますか…?』
「できます。どんな傷や病にも薬や治療法はあります」
『!』
それなら私達が鬼を斬る必要もなくなる
何より鬼殺隊員がこれ以上傷つく必要がない…
「ただ、今の時点では鬼を人に戻すことはできない」
『…でも、出来るんですね』
「はい、私たちは必ずその治療法を確立させたいと思っています」
『出来ることがあれば協力させてください』
「…貴女方は鬼を斬る身、何故協力する必要があるのでしょう」
「そうだ、貴様なんぞ必要のない物だ、だから此処に連れてきたくなかったんだ」
『……夢を…見るんです』