第13章 拾弐 珠世と愈史郎
目を向けるとそこには若い男が二人
「お嬢さん、こんな所で何してるの?」
「俺たちの相手してくんない?」
『…生憎忙しいので』
肩の手を払い退け、見廻りを再開しようとしたが次は腕を掴まれた
「少しだけだって…なあ!」
男は私に殴り掛かってきた
それを避けると鳩尾に拳を入れ、地面に倒れた
「おい!てめえ!」
もう一人は胸元に隠していた刃物を持って目の前に突き出した
「大人しく着いてこい!さもないとってぇっ!!!」
突き出された手を捻り、痛がる男は刃物を落とした
手刀を頚部に入れると気を失った
『はぁ…』
見廻りを再開しようとした
その時、路地裏の奥で鬼のような気配がした
背に隠した刀を戻し気配のする方へ走る
『居ない…?』
気配の方向へ来たがそこは行き止りだ
そして気配が完全に消えていた
鬼の気配は絶対消えることはない
自分の家にあった僅かな気配ですら覚えている
血鬼術か?
そしてさっきの気配は通常の鬼とは異なるものだった