第11章 拾 柱として
あまりにも居心地が良く長居してしまった
飲んだこともない酒を飲まされ、屋敷を出る頃には夜もどっぷり浸かっていた
「泊まれば良いじゃねーか」
『明日から遠方の任務だから帰る』
「また来てくださいっ」
「いつでも大歓迎だからね!」
「次は泊まりにいらしてくださいね」
『うん、ご馳走さまでした』
お辞儀をし、帰り道を歩いた
『はぁ…』
柱稽古を行い、自信を取り戻すことが出来た
天元には頭が上がらない
だが私の心はまだ靄が掛かっていた
『あれ?』
屋敷に着く手前、冨岡さんと鉢合わせた
私の屋敷から一町程の場所に屋敷を設けたそうで、この辺を散策してたそうだ
何故こんな時間に?
「…お前、酔っているのか」
『あ、いや、まぁ…』
天元の屋敷で柱稽古をしたこと。お酒を飲んだ経緯を話した
冨岡さんはずっと眉間に皺を寄せて話を聞いていた
『それじゃあ、おやすみなさい』
そう言って屋敷に入ろうとする私の腕を掴んだ
「何かあったのか」
『え、何もないけど…』
「…俺には効かない」
天元達には分からないよう繕っていたが冨岡さんには効かないようだ
『…上がってく?』