第9章 捌 廉雪山
頂上に着くと大きい岩の上に鬼の形をした擬態が立っていた
眼には下弦の参と印されていた
私は十二鬼月と出くわす確率が高いようだ
鬼の本体は地面にあったが、その周りには操られている人達がいて簡単には斬れない
「君は柱だね…待っていたよお」
『人間を解放しなさい』
「そう言わないで、これから沢山堪能するために備蓄しているんだからあ」
『…外道が』
「それに、柱を殺せばあのお方にまた血を分けて貰える。僕の領域に来てくれた事、感謝するよお」
血鬼術 雹禍
左手を上げると地面から鋭利な雹が渦を巻き、人間も構わず襲ってきた
『っ!!』
咄嗟に庇った際に微細な雹の破片を吸い込んでしまった
一瞬で肺が凍るように冷たくなった
「あれ??吸っちゃったねえ、僕の食糧を庇ったせいで君は死んじゃうよお?」
嫌な笑みを浮かべた
『…』
話す程、呼吸をする程私の肺は犯されていく
こいつは私を煽り殺すつもりなのだろう
鬼は余裕そうに私に近づいてきた
こいつは上等な顔だ、柱は他の人間より旨そうだ
どちらにせよすぐ食べてしまうのは勿体無い
顎を掴み僕に顔を向けさせた
「良い顔だね…惚れ惚れしちゃ…!!!」
『!?』
何だ、女を見た瞬間僕は恐怖を覚えた
汗が止まらなかった
これは僕が恐怖を覚えたのか?それとも…