第2章 壱 夢の中で
が十の時お館様がこの家に訪れた
私との向かいに座るお館様は口を開いた
「を鬼殺隊に欲しいんだ」
元柱としてはこの上無い話だった
透き通る世界を見えるようになったは
鬼殺としての才能を開花させていた
七歳の頃には父親の竹刀を折る程迄に
鬼殺隊に入ればすぐにでも柱になれる実力もある
そして人々を救うことが出来る才能があるのだ
だが私は水柱を引退後、育手にはならず
剣道道場を営み静かに生きることを望んだ
子供にはあの地獄を見ずに幸せに暮らして欲しかったからだ
「申し訳ありませんが…」
「そうか…はいずれ私達鬼殺隊の道標となってくれると私は信じているよ」
そう言うとお館様は帰っていった
は私の袖を掴んだ
『お父さん、安心して?鬼殺隊に行かないよ』
「っ…と一緒にいたいんだ。許しておくれ…」
私は強く抱き締めた
『うん…大丈夫だよ』
本当は分かっていた
この子は私のために言っているんだと…
私はその優しさに甘えていることを