第27章 弐拾陸 手紙
寒さも凄みを増してきた冬
鱗滝さんから手紙が届いた
炭治郎の修行を開始してから約一年が経つ
鼻が効く分順調に進んでいるとの事だった
それと裏腹に、鬼の禰豆子はずっと眠り続けているらしい
『…本当に鱗滝さんに任せて良かったのかな…』
修行中、ふと鱗滝さんが溢した
もう自分の育てた子供が死ぬのを見たくないと
育手である以上送り出す子供を見届けるのが責務だ
でも死んでしまうのが大半で
私の父も引退したとはいえ例外ではない
だから私は、自分を最後にして頂いて構いませんと言ってしまった
あの時は、私が鬼を此の世から消すと発言していたため
自ずと出た言葉だった
そして一年後、掌を反したような頼みを承諾してもらい
炭治郎と鬼の禰豆子を預かって貰っている
本当鱗滝さんには頭が上がらないのだ
そしてあの日から私と義勇は
禰豆子が人に危害を加え次第自害すると決めている
鬼殺隊の柱である私達が、鬼を自らの判断で生かした代償
本来このようなことをして良い訳がない
だが、珠世さんと愈史郎との出会いで救える鬼が居るのなら
私は救いたいと思ってしまった
鬼殺隊は私の思っている以上に複雑で色々な感情に度々悩まされる