第25章 弐拾肆 大きい身体と大きい心
「?」
『助けてくれてありがとう…って…言ってましたよ』
優しい気配を感じた
は嘘偽りなくその言葉を発していた
「どういう事だ?」
『つい数時間前に…鬼に襲われていた沙代を助けました』
「!!」
『あの子は、鬼に怯えるよりも…あの時の先生にした行いを悔やんでました…咄嗟に嘘付いて先生に言いたいことはある?って聞いたら…そう言ってたんです』
「…そうか」
『それと、三人の子供たちは本当に逃げたんでしょうか…もう聞くことは出来ないけど…生き残った悲鳴嶼さんだけはその子達の事を冒涜してはいけない…一緒に住んでいた家族なんだから…』
「!」
その時、あの時の出来事をおもいだした
私の言い付けを聞かず逃げていった三人の子供は
寺の正面ではなく裏で倒れていた
裏には物置があり、中には斧や鉈といった農具がしまわれていた
もし逃げたのではなく
立ち向かうための道具を取りに行っていたとしたら
私はとんだ勘違いをしていることになる
だが真実を知ることは出来ない
生き残った私の解釈次第でどうにでもなるのだ