第25章 弐拾肆 大きい身体と大きい心
「人はすぐ嘘を付く生き物だ、だが動物は違う…」
『…どうしてそんなことを?』
「過去の話だ…気にすることはない」
『気になりますよ、仲間だから』
は真っ直ぐ此方を見ていた
「…私は昔、身寄りのない子供たちを育てていた…」
「皆、血の繋がりこそ無かったが仲睦まじく互いに助け合い、家族のように暮らしていた 私はずっとそのようにして生きていくつもりだった…」
一人の子供が言い付けを守らず鬼に遭遇し
その子は自分が助かるために八人の子供と悲鳴嶼さんを喰わせると持ち掛けた
直ぐに四人喰われ、三人は逃げた所、喉を掻き切られて死んでしまった
唯一残った一人の子供を命を懸けて守った
朝まで鬼を殴り続け、駆けつけてきた人々が尋ねるとその子供は言った
(あの人は化け物、みんなあの人が、みんな殺した)
と…
『…』
「まだ四つの幼い子供だ、無理もない…だが、それから私は疑い深くなったように思う…そして子供だけではない、皆本性が出るとそうなる」
『!!』
その時、数時間前に助けた沙代の事を思い出した
詳しくは分からないが、悲鳴嶼さんはあの時の先生ではないだろうかと…
「でもあの子には…沙代だけには労ってほしかった…」
名前を聞いて、確信に変わった
『あの時はごめんなさい…』