第25章 弐拾肆 大きい身体と大きい心
『私はね…鬼を退治するだけじゃなくて、死んでしまった人とお話もできるの』
優しく抱き締め、そう伝えた
嘘でも、この子の絶望に満ちた心が晴れるならそれでいいと思った
「本当?…」
『もちろん、先生にごめんなさいって言っておくよ…他に何か言いたいこと、ある?』
「…助けてくれてありがとうって」
『分かった…』
青ざめていた沙代の顔が少しずつ和らいでいった
『じゃあ…伝えておくね、返事があったらまたここに来る』
「うん!ありがとう!!」
喜びながら大きく手を振っていた
こんなことで沙代は報われるんだろうか…
白い吐息を吐いて冬の雲一つ無い綺麗な空を見上げた
『?』
夜も明け、見廻りを終えた私は屋敷まで後少しの所で小さな生き物の気配を察知した
気配の方に向かうと、林の影に生まれて数ヶ月といった子猫がいた
親猫から離れてしまったのだろうか…
「みぃー」
『おいで』
小さな子猫を抱くと、震えていた
命には別状は無いが、寒さで身体が弱っていた
私は身を寄せて身体を暖めながら周りを見渡す
だが、親猫の気配は無かった
『どうしよう…』
このまま置いていけば間違いなく死が訪れる
私が飼っても屋敷に居ることが少ないから可哀想だし…
すると僅かに人の気配を感じた