第24章 弐拾参 過去の記憶
「……」
寝起きだからいけると思ったが、やはり無理だった
俺の竹刀は綺麗な断片で折れていた
これで何度目だろうか
凪も僅かな隙を抜けられる
の強さは計り知れない
『ねぇ、これ見て』
「?」
指の指す方を見るとの竹刀の中間には亀裂が走っていた
当然だ、此方も本気で向かわなければ速攻負けてしまう
『女の子相手に本気で殺しに掛からないで欲しい』
「何を今更」
『酷いなもう…』
呆れてそう言うと頬を膨らまして怒った
俺といる時のは素顔を見せてくれる
「ふっ…」
こう言った顔すらも愛おしく、思わず笑ってしまった
また怒られてしまうと思ったが、は驚いた顔を見せた
「どうかしたか?」
『竹刀を折ると、お父さんがよく悲しい顔をしてたから』
は切ない顔で笑って見せた
『でもこの力のお陰でこうして義勇に何度も挑んでもらえるし、皆が私を頼ってくれる事が嬉しくて…やっぱり鬼殺隊に入って良かったなって改めて思った』