第22章 弍拾壱 束の間※
先に湯浴みをさせてもらった
義勇の良い香りは石鹸かと思っていたが、少々違ったようだ
何処からするんだろう?身体から?
「考え事か?」
そんな変態染みたことを考えながら縁側で涼んでいると
後ろから私を抱き締めるように座った
私の大好きな香りがした
濡れた髪が私の首を擽る
『義勇のこと考えてたよ』
「…そうか」
すると義勇の手から水色の雪の結晶が付いた髪留めを渡された
『綺麗…』
「遅くなってしまったが…」
『え?』
「誕生日を祝って貰ったお返しみたいなものだ」
義勇は先程の町で見つけた装飾店でこの髪留めを見つけたらしい
『そんな…お返しなんて良いのに…』
今は六月、既に四ヶ月が経過していた
でも正直嬉しかった
四ヶ月前からずっと私の事を考えてくれていたのだから
向かい合わせに座ると、横髪を耳にかけられ
そこに髪留めを付けてくれた
『…似合う?』
「あぁ」