第22章 弍拾壱 束の間※
は偶に急に距離を詰めてくる
(揺らぐな、鬼殺の柱になりたいならば心には常に水面を思い浮かべ、水鏡のように静かに穏やかに居ること)
鱗滝さんから教わった
俺はそれを常時心掛けている
も同様だろう
だが、と距離が近付くと、静かな水面に波が出来る
偶の休息を共にするとそれは心地の良いものになり、俺の心は温かくなる
そして束の間で良いからこの波を長く感じていたくなる
「俺の屋敷に来ないか」
『…うん』
その返事一つで俺の水面が揺れる
はどう思ってくれているだろうか…
どうか同じ気持ちでいてほしい
繋いでいた手は、自然と指が絡まった