第20章 拾玖 季節風
撫でる手を止めた
『…風は季節を運び、四季を魅せてくれる…』
「…あ?」
『不死川は私達の季節風でいて欲しい』
「っ…」
顔を上げると此方を見るは前と同じ微笑みを俺に掛けた
『治ったらおはぎの美味しい店連れてって』
「なっ…んでだよォ」
『私は善良な人間じゃないから』
「っ!聞こえてたのかァ…」
『姉弟子の言うことは絶対』
「…ったく、判ったよ」
堪忍したようだ
『私は我が儘だから、善良じゃない』
「もう良いだろォが…」
そう言う不死川は顔を赤くしながらも
私が笑うとようやく笑ってくれた
それは春の温かく優しい微風のようだった
その後、しのぶを呼んでくれた
そしてお館様に今回の件を報告するため行ってしまった
この任務は不死川と一緒で良かった
お陰で家族との日常を思い出すことができたのだから…