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⚔️鬼殺の道標~鬼滅の刃~

第20章 拾玖 季節風







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温かな春、微風が吹く縁側

母は、私と勇紀の手を握っていた

(、勇紀、風はね、どんな時も吹いているのよ。

心地好い微風もあれば、時に台風のように強風を吹かせる。

常に人を翻弄するの。でもね、この風が季節を運び、私達に四季を魅せてくれる)

(じゃあ私の大好きな雪も風のお陰?)

(そうよ、だから当たり前でも大切にしなきゃね)

(風吹かないと洗濯物も乾かないもんね!)

勇紀がニヒヒと笑ってみせた

(ふふふっ、その通りよ)

(おーい!布団仕舞うから手伝ってくれー)

父が私達を呼ぶ声がした

私は母の手を離れ、立ち上がる

(はーい、ほら勇紀も行くよ)

(やだ!お母さんといる!)

勇紀は母の袖を握り、離しそうにない

(甘えん坊さんね、そうしたら皆でお手伝いしましょう)

(うー、分かったよー)

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目を開けると天井が見えた

外は、夜が明ける頃だった

亡くしてから、初めて見る家族との日常

温かな夢だった…お母さん…

「目ェ覚ましたか…」

『…不死川』

母に握られていた右手は、不死川に握られていて、今も暖かい

『いっ…』

起きようとしたが、傷口が痛んだ

諦めて仰向けのままでいた

「俺のせいだ…」

『あれは…誰も悪くない』

「…すまねェ」

項垂れている、こんな不死川を見たことがなかった

いつも突風のようにその場を荒し、去っていく姿はまるで台風だ

今の不死川は意気消沈していて無風状態ではないか

私は離された右手で、丁度良い高さにあった頭を撫でた





『らしくないね、弟弟子』

「…うるせェ…」




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