第20章 拾玖 季節風
春に差し掛かり、強い風が吹く夜
ーーーーー産屋敷家
鎹鴉がお館様に報告をする
「大きな被害が起きたようだね…柱を行かせなくてはならない…、実弥」
「『御意』」
ある町の住人が一夜で全員行方不明、送り込んだ数名の鬼殺隊員も行方不明となっていた
鎹鴉の情報だと町に到着し、辺りを捜索すること数十分
突然その場から消えたと言う
「鬼殺隊員の質が落ちてんじゃねェのか、なァ」
『ならば私達柱が手本となるよう先導すればいい事でしょう』
「二人とも、頼んだよ」
二人は屋敷から現場へ急いだ
途中、前を走る不死川の脇から黒い物体が落ちそうになり、咄嗟にそれを拾った
これは…
「!!」
『!』
その瞬間、腕を捕まれ、黒い物体は取られてしまった
「おいィ…見てねェだろうなァ?!」
物凄く怒ってる…厭、恥ずかしそうだ
『見てない…不死川が甘いもの好きなんて知らない』
「見やがったなァ!!!!ゴラァ!!!」
至近距離で大声を出されると、耳がキーンと鳴った
『な、何をそんなに怒るの、私だって持ってる』
空いてる手を使って懐からチョコレートを出してフフンとしてみせた
「一緒にすんじゃねェ!!!」
掴まれた手を離され、不死川は走っていった
少し不死川の可愛い一面を見れた気がした