第19章 拾捌 お祝い
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雪が優しく降る日、私は庭へ出ていた
それは綺麗な結晶の形をしたまま掌に乗る
しかし私の体温ですぐ溶けていった
(お前は雪が好きだな)
縁側に座る兄上が言った
(もちろん、だってこんなに綺麗なんですよ?)
(寒さは身体に障る…もう戻れ)
(もう少しだけ、良いでしょう?)
(…仕方の無いやつだな)
(この景色…あと何回見られるんでしょうね…)
空を見上げると空が顔を出し
降り続ける雪を太陽が照らす
それはまるで希望の光のようにも見えるし
私達に最後見せてくれた幻想的な景色なのかもしれない
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いつもとはまた違う夢を見た
涙が頬を伝う
起き上がり、襖を開けると先程の夢と全く同じ情景が広がっていた
幻想的で綺麗なのに、私は素直に喜ぶことは出来なかった