第18章 拾漆 残酷
いつもなら首を斬って人を救う、それで終わりだ
だが、兄を庇う行動を取った少女と真剣を持つ俺に丸腰で挑む少年に他とは違う何かを感じた
救って何になる…先程の行動は人間だった頃の事を偶々思い出しただけかもしれない
「少年は鬼になった妹を人間に戻したいと言っていた…俺はどうして良いか…」
『義勇、二人を信じよう』
「!」
『信じた結果はどうなるか分からない…でも義勇だけが背負うこともない』
「…」
『一緒なら怖くないでしょう』
そう言って俺の手を握り微笑んだ
握られて初めて、自分の手が汗ばんでいることに気付いた
俺はまだまだ未熟だ、が居なかったら今頃どの判断を下していたのだろうか…
その後、は竹筒に穴を開け、紐を通し鬼の口に当てがうと、少年の横に置いた
『さっきまで狭霧山に居たの…丁度家族が殺されて一年で……それで会いに行ってた』
「…そうか」
『今日が私の誕生日で、去年この羽織を準備してくれていた』
「!」
『この子はあの日の私と同じ…辛いだろうに…悔やんでも悔やみきれないだろうに…』
は悲しみと怒りに肩を震わせていた
『後は私に任せてくれない?背負うだけの価値があるか確かめたい』
「承知した、麓で待っている」
後はに任せるべきと判断し、下山した