第18章 拾漆 残酷
「っ!」
『これは…どう言うこと…』
そこには、市松模様の羽織の少年と鬼の少女が倒れていた
『失神?首を斬ればいい話でしょう』
「鬼が…少年を庇う行動をして俺を威嚇した」
『?!』
義勇が山に入ってからの経緯を聞いた
重度の飢餓状態の鬼が人間を庇う?
そんなことあり得ない、腹が減れば目の前にいる人間を喰らう
そういう場面を何度も見てきた
珠世さんは自分の身体を弄ることにより人間を喰わなくても生きていられるが、この少女は無惨に鬼にされたばかり
先程の惨劇を見れば、自ら鬼になったとは到底思えない
そして私がもっと早く来ていたら…と、一年前の自分と重ねた
「俺は、何か他の鬼とは違うと感じた」
実際珠世さんが無惨の呪いから逃れられたように、人間を庇う動作をする鬼も居るのかもしれない
そして義勇の感じている通り、この少女からは通常の鬼や珠世さんたちともまた違った気配がした
義勇も初めての経験で戸惑っているようだった