第2章 始まりの日
悠華は、自分の知っている今までの経緯を伝えた。
自分は別の世界にいた普通の人間であり、この世界は自分が知る物語であったということ。
突然交通事故に遭い、死にかけたこと。
その際に、自分の斬魄刀であると名乗る男の人に助けられ、この世界に送り出されたこと。
この世界に来たとき、虚に襲われるも誰かに助けられたこと。
龍仙華に告げられた、自分は元々この世界の者であったということ。
けれども、自分にはそんな記憶は無いということ。
悠華が全てを話し終えると、浦原はしばらくなにやら考え込んでいるようだった。
浦原のその様子に、悠華は思わず口を開く。
「あ、あのっ…こんな話、信じてもらえるなんてあたしも思ってませんから、大丈夫です。まだ、あたしもよく解ってないし…。
…ごめんなさい。こんな変な話しちゃって」
申し訳なさそうに頭を下げる悠華の顔に、浦原は優しく触れて。
「大丈夫ッスから、顔を上げてくださいな。
…ーー貴女のお話、よく解りました」
浦原のその言葉に、悠華は思わず一瞬固まる。
「…え…信じてくれるんですか…?」
驚いた顔をする悠華とは対照的に、浦原は明るく笑い出して。
「やだなあ!信じるも何も、最初っから疑ってなんかいませんよ」
「…警戒してたくせに」
へらりと言う浦原に向かって拗ねるように小さく呟けば、彼はバレてましたかと笑って。
「…ーーいやあね、実のところ、アタシの知ってる人にすごく似てるんスよ。貴女が」
「あ、あたしが…?」
首を傾げれば、浦原は薄く笑いながら頷いて。
「えぇ。だから放っておけなかった。
…ま、こんな話は気にしないでください。さて、別のお話をしましょ」
そう言って、彼は少し寂しそうな顔をしたように見えたけれど、すぐにまたいつもの雰囲気に戻ってしまった。
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