第3章 動き出す世界
次の日、悠華は朝早くに目が覚めた。
まだ日が出たばかりの外は、仄かに白んでいる。
布団から抜け出すと、少し肌寒い縁側へと出た。
(なんだか変な感じだなぁ…)
朝露に濡れる草花を見ながら、自分の身に起きた事を思い出す。
突然変わった、自分を取り巻く環境。
望んでいたこととは云え、困惑は隠せない。
よくよく考えてみると、分からないことが多すぎる。
何故、自分はこの世界から消えて前の世界にいたのか?
何故、突然あのタイミングでこの世界に来れたのか?
何故、自分は記憶も何もないのか?
何故ーー…?
沢山の"何故"が、悠華の心を埋めていく。
「……あたしは、なんなの」
…ーー怖い。
分からないことが怖い。
そう思う一方で、知ることが怖いと思う自分がいる。
そんな風に思うのは、何処かに潜んでいる過去を知る自分の所為なのだろうか。
「どうしたら、いいの…」
悠華の幽かな声は、静かな朝の空気に溶けていった。
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