第2章 始まりの日
「…あぁ、そういやお嬢サン、お名前は?」
「あ…桜木悠華です」
名前を告げると、浦原はにこりと笑ったように見えた。
「悠華サン、ッスね。アタシはしがない駄菓子屋の店長の、浦原喜助です」
よろしくお願いしますね、と軽くお辞儀をされると、悠華も頭を下げた。
浦原は、よいしょっと声を出すと、悠華の横に座り込んだ。
「…ところで、悠華サンはなんであんな場所で倒れてたんスか?」
ニコニコと、そう笑顔で問いかける浦原。
笑顔なのに。
言葉が、ピリピリと肌に刺さる感じがする。
(やっぱり、警戒されてる…。
ちゃんと本当のこと話した方がいいのかな…)
話したところで信じてくれるのだろうか。
(…でも、話さなきゃ、何も進まないよね)
悠華は小さく息を吐き出すと、今までのことを話し始めた。
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