第2章 始まりの日
(体が、あったかい…
…なんでだろ、確かあたし、虚にやられて、それで…
…あれ?どうしたんだっけ…?)
悠華は、意識を緩やかに取り戻してゆく。
開かれた目には、古き良き日本家屋の天井が映った。
ゆっくりと体を起こす。
どうやら布団に寝かされていたようだ。
「あれ…ここは…?」
キョロキョロと辺りを見回していれば、背後の襖がするりと開いて声が飛び込んできた。
「あぁ、良かった。元気そうッスね」
そこに立っていた声の主は、浦原喜助だった。
初めて虚以外の登場人物を目の当たりにし、驚きで固まる悠華。
そんな悠華の様子に、浦原は心配するように顔をのぞき込む。
「あのぉ…大丈夫、ッスか?」
その声に反応して、悠華はすぐに姿勢を正して上擦った声で返事をする。
「は、はいっ!大丈夫です!」
「それなら良かった。そうだ、身体、もう痛みませんか?かなり酷い怪我でしたケド」
浦原のその言葉に、悠華は自分の身体を見つめる。
痛みはおろか傷一つ無くなっていて、あれは夢だったのかと思うくらいだ。
「…ありがとうございます。助けてくださったんですね」
「お気になさらず♪」
飄々と笑う彼の姿は、漫画で見た通りで。
(やっぱり、本当に来たんだ、あたし…)
嬉しさやら戸惑いやらで複雑な気持ちが渦巻いているけれど、それを隠すように悠華は笑みを浮かべた。
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