第2章 始まりの日
静かな住宅街。
そんな中、カラン、カランと鳴る下駄の音が目立つ。
突然、その音がひたと止まった。
「…おやぁ…これはどうしたもんデショ」
帽子を被った下駄の男、浦原喜助の目線にあったのは、傷だらけで倒れる少女だった。
その体に刻まれた傷口からは、僅かに虚のにおいが残っている。
(…これはひどい、大した霊圧でもないのに…さしずめ無差別に襲われたといったところッスかね…)
息はある。
「とりあえず、ウチで処置だけしちゃいますかね」
よいしょ、と少女を抱え上げようとすると、髪の毛で隠れていた顔が見えて。
その瞬間、浦原は目を見開いた。
「ッ!?…貴女は…どういうことだ…」
(何故貴女が此処にいるんだ…?)
驚きと戸惑いで一瞬思考が止まりそうになる。
だがすぐに自身のすべき事を思い出して。
「大丈夫…すぐに治してあげますから…」
そう呟いて彼女をしっかりと抱えると、彼は浦原商店へと足を急がせた。
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