• テキストサイズ

【BLEACH】影踏み白昼夢

第2章 始まりの日



「わわ…っと。

――ここは…」

壁のプレートに刻まれた、空座町という文字を見てはっとする。

悠華が飛ばされた先、それは空座町の住宅街らしきところだった。



「すごい、漫画と同じ…

あたし…ほんとに、来たんだ…!」


零した感嘆の声には、分かりやすく喜びが浮かんでいた。


一人喜ぶそんな悠華の背後に、大きな黒い影が忍び寄っていることに、彼女はまだ気づいていなかった。




ウオオオォオォオオォォンッッ


突然の雄叫びに気づき後ろを振り返れば、そこには自分より遥かに大きい虚が立っていた。


「いや、ちょっと…いきなり虚って…いやいや…」


なんてベタな。


込み上げる恐怖をごまかしたくて、一人そう茶化している間にも、虚は叫びながらこちらに近づいてきていて。


震える脚で、じりじりと後ろへ下がりながら距離を保っていたその時、ふと悠華は一つのことを思いついた。


「これ…いけるかな?」

そう零すと虚に向かって掌を翳し、がたつく脚を押さえ付けてその場にしゃんと立ち止まって。



「―君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ!真理と節制、罪知らぬ夢の壁に、僅かに爪を立てよ!

――破道の三十三…蒼火墜!!」


ズドン、という激しい爆発音と眩しい光とともに、辺りは煙に包まれて。


「わー…ホントに撃てちゃったよ…」


鬼道を放った自分の掌を、信じられないというような顔で見つめて感動する悠華。



だが、現実はそう感動していられる状況でもなかった。


.
/ 26ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp