第1章 ※煉獄杏寿郎
「杏寿郎と…私の…心のままに…」
私がそう言うと同時に、杏寿郎は私の身体を引き寄せ抱き締めた。
「ずっとずっと、こうしたかった!」
私は逞しい杏寿郎の腕の中にすっぽりと収まり、私の両手も杏寿郎の背中にまわした。
私の顔にフワフワとかかる黄金色の杏寿郎の髪がくすぐったく気持ちいい。
このフワフワがどれくらいフワフワするのだろうと、ふーーっと息を吹き付けると、杏寿郎の身体がビクッと跳ねた。
「よもや…」
「???」
きょとんとした私を横抱きで軽く抱き抱え、布団まで行くと丁寧に降ろしてくれた。が、
「??…杏寿郎?どうしたの??」
「よもや、君から誘っておいて惚けるとは。俺は君の気持ちがわかった以上ここから先、辞めるつもりはないが」
さっきのフワフワ髪に息を吹きかけたのが、どうやら耳に当たったのか杏寿郎に火がついてしまったようだった。
「ま、まって!杏寿郎、誤解だから!あなたの髪の毛がきれいで!フワフワしてるからっ!!」
すっかり押し倒され私の上に跨る杏寿郎に向かって必死に私は弁解する。
「君の髪の毛もとても美しい。この一本一本、全てが愛しい」
そう言って私の長い白髪に口付けた。
「………っ!!」
もう言葉なんて出てこない。
これから起こる事の想像が出来ないほど子供では無いが、経験があるわけでもない。