第1章 ※煉獄杏寿郎

　「いいだろうか…」

　いつも人の話を聞かない杏寿郎が、私の了解を得ようとしている。私もそれに応える。

　コクリと縦に頷くと、ゆっくりと杏寿郎の顔が降りてきて、私に口付けた。

　最初は、触れるだけの口付けを何度も落とされ、次第に口だけで無く額や耳、首筋にも落とされた。


　「ん、…くすぐったいよ、杏寿郎…」

　すると杏寿郎は徐に唇に唇を重ねてきたが、先程までの啄むような口付けではなく、乱暴では無いけれど食べるように激しく貪ってきた。

　「ふっ…ん…」

　苦しくなってきて口から息が漏れたところを、杏寿郎は待っていたとばかりに舌を捻じ込んできた。
　
　「んんっ…うっ…、んっ…」

　くぐもった声が唇の端から漏れ出るが、杏寿郎は構わず自身の舌を私の歯列に這わせたり、舌と舌とを絡ませ合ったりして、中々やめようとしてくれない。
　次第に息苦しくなって、「ぷはっ」唇を離すと、杏寿郎がふわりと笑う。