第1章 ※煉獄杏寿郎
藤の家へ着くと、いつものように暖かく迎え入れてもらった。
「鬼狩り様、どうぞごゆっくりお過ごしください。風呂も夕餉もご用意しております。隊服も随分汚れているようですからお洗濯いたしましょう」
と、何から何まで手厚くもてなしてくれる。
本当に有難い限りだ。
「杏寿郎、先にお風呂どうぞ」
『そうか!ではお言葉に甘えるとする!』
杏寿郎が風呂から上がり、変わって私が入った。
何日もゆっくりと風呂にも入れずにいたので、ギシギシの髪をゆっくりと解いていく。杏寿郎の髪は炎柱と呼ぶに相応しい黄金色をしている。私の髪は氷柱らしく銀髪。銀と言えば聞こえがいいから自分ではそう言うようにしているが、年寄りと同じような白髪だ。幼少の頃に鬼に襲われた家族を目の当たりにし、一気に色素が抜けてしまったのだ。鬼殺隊に入るまでは随分とそれで嫌な思いもしたが、鬼殺隊ではそんなことに一々干渉するような者は殆ど居なかった。
まぁ、私が群を抜いて強いというのもあるが…。
『カヲル!!家人が夕餉の準備が出来たと言ってくれている!そろそろ出て来てはどうだ!?』
ぼーっと風呂に浸かっていると外から杏寿郎が呼ぶ声がした。特に返事もせずのそりのそりと用意された浴衣に袖を通し夕餉の席に向かった。
『うまい!うまい!!うまい!!!うまい!!!!』
杏寿郎は大きな目をさらに見開いてサツマイモの天ぷらと芋ご飯をかきこんでいた。
私の分のサツマイモの天ぷらを少しわけてあげる。
『#NANE1#!いいのか!?』
「うん、私には少し多いから…」
『そうか!では遠慮なくいただく!』
うまい、うまいと食べる杏寿郎を見て心が落ち着いていくのを感じた。