第2章 前日、罰は免れた【稲田】
体育祭前日、校内は部活動の声と共に応援看板の制作の音や練習の声が聞こえる。
「すごい盛り上がってるな、明日はどれだけ盛り上がるんだろう」
エゾノー祭終わってすぐなのに、本当みんな体動かすイベント好きだよなぁ。
馬術部の部室へ向かって歩いていると、ふと黄色い歓声が聞こえた。
「なんだろ」
気になって近寄るとどうやら応援団の練習で、その中に知った顔を発見する。
「食品科は正統派なんだ」
中央にいるのは稲田先輩。学ランに鉢巻、太鼓を使っての援団練習は迫力があって、ちょっと私も見学していこうかな。
稲田先輩はタマちゃんのお兄さんで、爽やかな笑顔と優しい言動で女子に人気があるんだけど、タマちゃん曰く『みんな見た目に騙されている』らしい。
「先輩かっこい~ね」
「応援団を応援したいとか思っちゃった」
近くの女子の話し声が聞こえてくる。確かにキリッとして声を出してるのとかカッコいい。
稲田先輩はタマちゃんのお兄さんという以外にも八軒くんと知り合いだったりして、意外にうちのクラスには顔馴染みになっていた。
別に私がどうという事はないのだけれど、知り合いが人気があるというのは何となく誇らしい。
「よし、ちょっと休憩」
一通り終わったのかふっと緊張の糸が切れて空気が和らいだ。
あの大きな旗とか重そうだな、声を出すのも大変だけどアレを持ち上げてるのも大変そう。
それまでずっと旗を持ってた人がよいしょという感じで旗を定位置であろう場所に置いた。
「あ、先輩こっち来るよ」
「、見てたのか」
女の子達の声が聞こえてたけど私の視線は旗へ行ってたのでわからなかった。
だから、声をかけられてようやく目の前に稲田先輩がいるのに気づく。
「あ、稲田先輩お疲れ様です」
先輩の額にはうっすらと汗が浮かんでいた。いくら秋だっていってもまだ暑いもんね。