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【銀の匙】嬉し恥ずかし体育祭【逆ハー】

第1章 準備段階、まさかの二人三脚【相川】


「何か、緊張するね」
 考えていたことを相川くんがボソっと呟いて、思わず顔を見上げた。
「私もちょうどそう考えてた。同じだね」
 ドキドキしてるのは私だけじゃないんだ。そう思うとちょっと安心する。
 エヘヘと笑うと相川くんもヘニャッと笑った。けど笑顔が少しぎこちない。
「まぁ、ちょっと視線が痛いってのもあるんだけど……」
「視線?」
 誰か見てるんだろうか。周りを見渡すけどみんなサッと視線をそらす。
「さんは気にしないでいいよ。練習しよう」

「相川め……」
「これ見よがしに見せつけやがって」
「騎馬戦で覚えとけよ」

 その後、授業が終わるまで何度も練習した。
 まだスタートでちょっと引っかかるけど、そこさえ乗り切れば何とかある程度で走れるようになったかも。
「行けそうだね」
「相川くんが合わせてくれるからだよ」
 密着してる方が走りやすいから、くっついているのもだいぶ気にならなくなった。

「お二人さん、いい雰囲気じゃない。いっそ普段もそうやってくっついて生活してみるとか?」
 戻ろうと鉢巻を外していると吉野がニヤリと笑う。
「な、何言ってるのさ。そんなんじゃないよ!」
「そうだよ、この状態じゃ授業受けにくいよ」
「え? そっちの心配?」
 慌てて否定するけど相川くんは不思議そうに私を見た。
「そっちって? 後はトイレとか、部活とかも困るよね」
「相川、はアキ並だよ」
「……だね」
 首を傾げているとため息をついた吉野が相川の肩を叩く。
「え、どういう事?」
「いいから、着替えに戻るよ」
 私のわからないうちに二人だけで会話を終え、さっさと歩いて行ってしまった。

~続く~
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