第1章 準備段階、まさかの二人三脚【相川】
「えっと、左と右どっちがいい?」
「どっちでもいいよ」
体育の時間、体育祭の為にみんな個々に練習をしている。一番白熱してるのはやっぱりリレーの練習かな。
私と相川くんは二人三脚の練習なんだけど、まず立ち位置から迷っていた。
「俺は右利きだから、左にいた方がさんを支えられると思うんだよね」
「へぇ、じゃあそっちでやってみようか」
私は漠然としか考えて無かったのに、論理的に言われて何となく納得する。
「痛くない?」
「大丈夫だよ、もっと強くしてもいいくらい」
相川くんの右足と私の左足を鉢巻で縛った。少し余裕を持たせたけど、それでも動きにくいのは変わらない。
「あ、あのさ。このままじゃ走りにくいからもうちょっとくっついてもいいかな、手を肩にまわしたりとか」
足を縛っただけじゃ終わらない。この状態で早く走る事を考えなきゃいけないのに、言いにくそうにしてる相川くんは顔が真っ赤になってた。
「え? あ、うんそうだよね」
釣られて私も赤くなるけど、わざわざ確認するなんて相川くんは紳士だなぁ。
「失礼します」
そっと触れる様に肩に手を回されたが、ほとんど進んでない私達を見つけた轟先生がやって来て相川くんの手を掴んだ。
「ほら、ちゃんと手を回してしっかり支えあわないと怪我をするぞ」
「わっ! ごめんね」
「大丈夫だよ」
がっしりと肩を捕まれた反動で相川くんの胸に顔を押し付ける。
「も相川に手を回して、こうだ!」
「は、はい!」
慌てて体を離そうとするも、私の手も相川くんの腰に回されてさらに密着した。体の間に空間は全くない状態。
「これで練習しなさい」
ちゃんとした体勢になった私達を満足そうに見た轟先生は、そのまま去って行った。
それにしても、かなり近いなぁ。ジャージ来てるけどくっついてる部分が温かくて緊張する。