第1章 準備段階、まさかの二人三脚【相川】
「二人三脚だってよ」
「マジか? まだ埋まってないよな」
ヒソヒソと聞こえてくる方を見ると、男子達がこちらをチラチラ見ていたが私と目が合うとニッと笑った。
「誰か変わってよ。絶対に私じゃ最下位になるって」
「無理無理、諦めなって」
「練習すればでも大丈夫なんじゃないの」
「も~、みんな他人事だと思って好き勝手言ってるでしょ!」
文句を言ってもまぁまぁと宥められて、私は判決の時が来るのを待つしかない。
「あ、二人三脚だ」
とうとう男子が当たった。誰だと教壇を見ると、そこにはくじを持った相川くん。
「よろしく、さん」
「相川くんだ~、良かった!」
微笑む相川くんに私は万歳をしそうになった。
クラス一穏やかで優しいと思われる相川くんならきっと引きずったり怒ったりしないはず。
「良かったわね、相川はマシな方よ」
「だよね」
冷静に分析するタマちゃんの意見も言葉は違うものの、私とほぼ同じだった。
「何だよ、相川かよ」
「爆発しろ」
何やら物騒な言葉が聞こえてくるけど、気にせず相川くんに近寄る。
「よろしくね、私迷惑かけると思うけど頑張るよ」
「うん、じゃあ時間の開いてる時にでも練習しようか」
「練習?」
聞き返すと相川くんは笑顔のまま頷く。
「次の体育の時間とかさ、練習しとけば本番でこけたりとか少なるなるよ」
「そっかぁ、そうだよね。相川くんかしこい!」
やっぱり相川くんは優しいな。不安だった二人三脚も、少しだけ気持ちが軽くなった。