第4章 当日 駒場編
「ゴールおめでとう、一位だぞ」
どこか遠くで会話が聞こえてきて、ようやく地面の感触に辿りついた。まだグラグラと揺れてる気分。
「悪ぃ、大丈夫か?」
へたり込む私に伸ばされた駒場くんの手をとって立ち上がる。引っ張る力が強すぎてそのまま駒場くんの胸にぶつかる。
「わっ、ごめん。それにしても、いきなりだったからびっくりしたよ」
駒場くんのシャツからは汗と砂の臭い。まぁ私と変わらないだろうけどね。
「が一番該当すると思った」
「そう言えば、お題は何だったの?」
私が該当って事は〇〇な女子とかそういう内容だと思うんだけど。
「ねぇねぇ」
「顔色悪いけど大丈夫か?」
訊ねるが明らかに誤魔化されてお題の紙はポケットに適当に入れられた。言いたくないって事はあんまりいい内容じゃなかったのかな。
「ちょっと気持ち悪くなっただけだけど、今誤魔化したよね」
「……保健委員のテントに連れてってやる」
「ちょっと、駒場くん!」
ぷいと顔を背けたと思ったらまた持ち上げられて、今度はさっき常盤くんが失敗したお姫様抱っこ。
「すぐそこだから、歩けるから下ろして!」
さすが駒場くんは私を持ち上げても揺らぐことがない。でもこんな恰好で歩いてたら目立って何言われるかわからないよ。何たって駒場くんは野球部の時期エースだもん。
「大丈夫か?」
「平気だって」
すぐに下ろしてくれたけど心配そうな声。
「もうすぐ昼だからそのまま当番行っちゃうね。お昼は向こうで食べるから」
「じゃあの分持って行ってやる」
「ありがとう」
保健委員のテントはすぐそこ。駒場くんに手を振って何気ない顔して行くと交代予定の先輩がいた。
「、早くない?」
「お昼ここで食べるんで休憩させてください」
「さっきの子は彼氏?」
開いてる端の方に座るとニヤニヤと笑われる。
「違います。クラスメイトです」
「いいじゃない、カッコいいしよく働きそうだし」
「そう言うのじゃないんですって」
野球をしてる時の駒場くんはカッコいいと思うけど、どっちかって言うと常盤くん達と話してる時はよく笑って結構可愛いとこもあるし……って何を考えてんだか。
ふと思い出してその顔を振り払うようにぶんぶんと顔を左右に振る。
しかし、昼の弁当を持ってきてくれた駒場くんを見て先輩はまたニヤニヤするのだった。