第4章 当日 駒場編
「そう言えば今はなんの競技?」
もう少しでお昼になる。早く昼食を食べたいと選手にも一層気合が入っているように見える。
「確か次は……借り物競争だね。うちのクラスからはいっちゃんが出るよ」
プログラムを見てたアキが出走位置を見わたし、あそこと指差した。
「駒場くん? ん~、よくわかるね」
「いっちゃんは大きいからね」
順番を待つ男子の群れは言っちゃあなんだけど全部ごつい。
でもアキはあれだけいっぱいいる牛をちゃんと把握できる。だから群れの中の駒場くんも見つける事ができるのだろう。
「次だよ」
なんて失礼な事を考えているうちに駒場くんの番が来て、スタートラインに立ってる姿がようやく認識できた。
「駒場~絶対負けんなよ~!」
「さっさと終わらせて昼飯食う!べ」
クラスの声援はどこもものすごい。しかも主に昼食関係……みんなお腹空いてるんだな。
そんな声援を受け、駒場くんがスタートの合図と共に飛び出した。
しかし、テーブルの上に置かれた紙を一つとって止まってしまう。
「何書いてあんだよ」
「とりあえず走れ! 走れ駒場!」
他の男子も同じように止まった。しかもみんな悩んでるみたい。
すると、突如駒場くんがこっちを振り向き走ってきた。
「!」
「え、私?」
視線が合ったかと思った瞬間には腕を掴まれ引っ張られて、転ばないように足元のロープを跨ぐのが精一杯。
「待って、駒場くん早っ……っ!」
必死についていくけど駒場くんの速さは段違いで、さっきテーピングをしてもらった足首がズキリと痛んだ。
「……悪い」
「ごめんね、足遅くて」
声が届いたのかようやく速度を緩めてくれたけど、いきなり腰に手を回されてふわりと体が浮き上がる。
「ぎゃあぁぁ!」
え、何これ? どういう事!?
「一位狙うぞ!」
駒場くんは私を肩に担ぎあげてまた走り出した。
腰をガッチリ固定されてるから落ちるという不安はないけど、高くて怖いし揺れがダイレクトに伝わってきて気持ち悪くなりそう。
「下ろして~」
「もうちょっとだ!」
何で人を抱えてるのに走る速度が変わらないんだろう。ゴールに背中を向けてるからいつまでこの状態かわからないけど、明らかに注目されてるのがわかるから私は恥ずかしくて顔を両手で塞いで目を瞑った。