第1章 いつも、いきなり

尻の間に長い指が這わされ、にゅる、と割れ目に食い込む。

「んんっ……！！だ、誰も……触ってません……」
「……一人で慰めてたんか？」
「……はい……」

狂児を想って、何度も、何度も。
かつての彼との情事を思い出して、下腹部がきゅう、と疼いた。
狂児の中指の先が、膣に入り込む。

「あぁっ……！！」

予想以上の刺激で下半身がびくん、と震える。久しぶりのそこへの侵入は、少しピリッとした痛みを覚えた。長く節の太い指はゆるゆると少しずつ出し入れを繰り返しうるみをなじませながら進み、根元まで入れられると指先が、興奮で降りてきた子宮口付近までをも擽った。楓は腰を捩って、膝が崩れ落ちそうな快感を耐えた。

「んんっ、やぁ……」
「これやこれ……相変わらずよう濡れるなあ」

指が抜かれて、腰を片手で掴まれた。狂児の体が近づいてくる。
すでに体の深部は痛いほど疼きっぱなしで、彼のペニスで突かれるその快感を思い出していた。

ゴムをつけるそぶりはない。いつもそうだ。
一応楓の体のことを気にしてはいたようが、出来たらそれはそれで、と思っていたようだ。
楓自身も、それでいいと思っていた。
割れ目に先端を押し付けられ、ゆっくりと上下して馴染ませる。潤みがペニスの先端によって伸ばされて、クチュクチュ、とひそやかで卑猥な音を立てて、じわじわと侵入を始める。

「あっあっ、あぁー……」

挿入によって広がる軽い痛み、圧迫感、膣壁で感じる彼の質量が、体内を進んでくる感触のそこかしこに、火をつけていく。
狂児は楓の腰を両手で掴むと、自らの下半身に引き寄せる。
腹の奥に先端が舐めるように触れ、粘膜の擦れ合う音が響いた。楓は目をきつく閉じて、声もなく震えた。

『気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……！！』

快感に溺れてはいけない。
彼が悦くならなければ意味がない。
自分が感じているところも、彼を喜ばせるサービスの一つなのだと忘れてはいけない。
いけないのだけれど。

「もうちょい腰上げて……よし。いくで」
「んっ、んっ……あぁ、あー！！」

狂児は長い足を大きく開いて楓との身長差を少なくし、二、三度ゆるゆると馴染ませるように出し入れしたかと思うと、いきなり長く速いストロークで、最奥を突いてきた。