• テキストサイズ

恋、つまり、まばたき(R18)【カラオケ行こ!】

第1章 いつも、いきなり


嗅ぎ慣れた強い甘い香りと、少しきつめのタバコの匂いが合わさって、記憶が呼び起こされて頭の後ろがじんと痺れた。夢じゃない。
唇をなぞるだけだったキスはすぐに深まり、下唇を食まれ、舐められ、生温かいタバコの味の舌がぬるりと侵入してきて、楓は身を強張らせた。


この人は、なんでいつもこんないきなりなの。

再会した喜びを告げる間も無く、性急に繋がりを求めるその貪欲さに辟易としながらも、楓は受け入れるしかないと分かっていた。
狂児は楓に対して自分が拒絶されることはないと知っている、その不遜さを備えるとともに、楓の甘さを知り尽くしている。

ふと目を開けると狂児の目が開いているのを見てしまい、恥ずかしさと混乱でぎゅっと目を閉じた。獲物を見定めているように感じてしまう。彼の目は黒々として、光の少ない地下の部屋でもそれを映してぬらりと光っている。

「んっ…はぁ……」

唇と口中を散々に愛され、息継ぎのように少しだけ離れる。近すぎて焦点も合わない距離からようやく狂児の顔全体が見えた。自分の表情も見られているとともに、吐息の熱さを感じるほどの距離で視線が合うのが恥ずかしいので、少し斜め下に逸らすと、さっきまでなかった紅い色を彼の口元に見つけた。楓は親指の先で優しく彼の唇に触れた。

「口紅、移っちゃいました……」
「ふふ」

今度は口元だけではなく、目を少し細めて笑われる。楓はその笑顔に陶酔した。
胸の中がふわふわとしたもので覆われて、頭の芯が甘く痺れている。夢ではない。また思った。
蕩けるような甘い笑顔のまま、狂児の唇が動いた。

「しようや」

愛を囁くような甘い甘い響きなのに、卑猥な意味が込められたその言葉に耳を疑う。
だが楓はすでに自身の体が反応していて、そして彼がそう言うのも何となく分かっていた。

「でも私今、業務中ですよ。そんなこと……ええええ」

難しい、と言う前に狂児はスラックス上から自身の股間を掴んで揉み、自ら刺激を与え始めた。その綺麗な姿が、あからさまに下品な仕草をするのを見て言葉を失う。次いでファスナーを下ろし、やや大きくなり始めた性器が顔を見せた瞬間、楓は結局自分の理性も飛んだのを感じた。
はあ、と観念と、呼吸を整えるために大きく息を吐き、跪き、彼の股間に顔を近づける。
/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp