• テキストサイズ

恋、つまり、まばたき(R18)【カラオケ行こ!】

第4章 いとしくて、かなしい 2


狂児は楓の目を優しく覗き込みながら、汗で貼りついた目元の髪を右手の指先で掬い、そのまま頭を撫で、左のこめかみに唇を落とし、そのままするりと降りて耳の下へ唇を押し付けた。つがいの鳥が愛しい相手に行うような、優しい愛撫。
首に軽く歯を立て、甘噛みされる。
硬質で鋭い感触は楓の感覚を鋭敏にさせ、鳥肌が立つ。は、と楓の喉から声にならない音が漏れた。

全身を深く重ね合わせ、体のくぼみに相手の体の一部が全てぴったりとはまり込んだような快い錯覚のあと、また狂児の腰が揺れ始める。ゆっくり浅く、そして次第に深く、最奥に狙いをつけて、そこを軽くノックするように。
楓も狂児の絶頂を促すように、下腹部に力を入れる。圧迫感と擦れる位置が増えて、すぐにまた快感が湧き上がってくる。

「ん、ん……狂児さん……」

楓に応えるように狂児は楓の首筋から顔を上げ、そのまま唇を重ねた。熱い舌が入ってきて、楓の口中を探る。舌を絡ませ、唾液が流れてくる。バニラを少し含んだタバコの甘い香り。楓は喉を鳴らした。
狂児の肩に手のひらを這わせて、背中を撫でる。しっとりと汗で濡れた肌。綺麗な鶴が、ここに居る。
ぎゅうと力を込めて抱きしめる。もう下半身はさっきから何度も絶頂を繰り返している。繰り返すというよりも、ずっと絶頂状態だった。頭と腹の中にぴかぴか、星が鳴り、散っては生まれを繰り返す。指先と爪先はそれに呼応して痺れて、狂児の肌に触れるたび甘やかな感覚を胸の中に呼び起こす。
耳に届くのは、はっ、はっ、とお互いの呼吸と時々漏れる喘ぎと、下半身の肌のぶつかる音だけ。
狂児の綺麗になでつけた髪が少し崩れて、楓の顔のすぐ上で揺れて、時々掠る。くすぐったい。
狂児の手が楓の手をシーツに抑えつけた。楓は指を狂児の手のひらに絡ませると、狂児はそれに応えて指を繋いでくれた。しっとりと濡れた熱い掌。離したくない。
手を握られて、また大きくなる絶頂の波に陶然としていると狂児が、はぁっと大きく息を吐いて腰を強く押し付けた。楓の敏感な部分全部が密着して、腹の中が今日一番大きな快感に包まれた。

「あぁぁーーー……!!」


悲鳴の形の唇を、狂児の唇が覆う。
どくん、と白い命の塊が楓の胎内に満ちる。





/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp