第3章 いとしくて、かなしい

だがその目は、手頃な獲物を見つけた肉食獣を彷彿とさせた。奪い、独占する、圧倒的な強者の目だ。楓はこれからいよいよ、本気で狂児のおもちゃにされてしまう。下腹部がきゅう、と疼いた。
少しの怖気と、快楽への期待が、楓を包む。

「あっ、きゃっ」

狂児は起き上がり楓の膝の裏に手を入れると、ころん、とそのまま後ろへ転がしてしまった。突然で何も反応できず、慌てふためく楓の両脚が大きく開かれ、はしたない格好をさせられる。困惑する前に狂児の大きな体が、その脚の間へずい、と割り込んでくる。
大きな質量が、再び楓の中心部に当てられる。先ほどまでの快感が燻っている胎内が、早くその熱が欲しくて疼いている。自分の乱れるところを想像して、熱い雫が尻の方へ垂れるのを感じた。狂児に気づかれていないだろうか。楓は恥ずかしさで赤面した。

「いくで」

狂児の体がぐい、と楓に迫った。

「あ、あーーーっ！！」

楓の体がたまらず仰け反る。胎内に半分ほど一気に押し入られ、膣内のあちこちにあるスポットを狂児の硬いそれが、肉を巻き込むように舐めあげて行く。快感が一気に脳髄まで駆け上がり、目の裏でチカチカと白い星が散った。
ゆっくり、ゆっくりとあとの半分を、狂児は腰をすくい上げるようにして押し込んできた。
最奥まで入れられるとへその裏まで入り込む錯覚があった。

「狂児さん、ゆっ、ゆっくり」

声を出すと腹の奥に響く。情けないほど自分の声がうわずって掠れているのがわかる。
狂児は楓の両膝を持って胸近く来るほど持ち上げて脚を開かせ、抽送を始めた。
最初は浅く、だんだん深く。粘膜が擦れる甲高い水音と、皮膚同士が当たる破裂音が聞こえ出した。先端が奥の少しきついところを押し開くたびに、身体中に電気が走る。

「あっ、あっあっ、ま、待って、強い、いく、あっ、うそ、あー！」
「はや。俺より先いくんかい」

まだ軽い絶頂感だったが楓の目の奥が熱くなり、次いで視界が白く揺れる。絶頂の間も腰を揺さぶられ、痙攣する胎内を行き来する熱が楓の膣を穿ち続ける。